なぜキーエンスには“できない営業マン”がいないのか?成果を出す組織設計の正体

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■ 「できない営業マン」がいない会社?

キーエンス――その名を聞くだけで、営業職の“エリート集団”を思い浮かべる人も多い。
平均年収は2000万円超、営業利益率は日本企業トップクラス。
数字だけ見ると「特別な人たちの世界」のように思えるが、実は真逆だ。

キーエンスが強い理由は、“できる人”を集めているのではなく、“できるようにさせる仕組み”を徹底している点にある。


■ 実力主義なのに“属人化”しない営業

一般的な営業現場では、成果が出るかどうかは個人の経験・センスに左右されがち。
だがキーエンスは、誰がやっても同じ結果が出るように「型」を組み立てている。

  • トークスクリプトが体系化されている
  • ヒアリング手法も標準化
  • 営業フローがマニュアル化され、属人的判断が入りにくい
  • フィードバックは毎週、全件レビューされる

つまり、「できない人が生まれない」設計が組織に埋め込まれている。


■ 秒単位で管理される“営業プロセス”

キーエンスの営業は、時間と数字の使い方が異常に緻密だ。

  • スケジュールは1分単位で管理
  • 営業日報は訪問時間、提案時間、移動時間まで詳細に記録
  • 週次で全営業がKPI進捗を報告し、マネージャーと改善策を議論

ここでは、“感覚”や“ノリ”で動く営業は存在できない。

成果は運ではなく、再現可能な行動とPDCAの積み重ねとして捉えられている。


■ 組織で勝つ。だから「できなくならない」

キーエンスが本当にすごいのは、“できる人”をつくるのではなく、“できなくさせない”こと。

  • 新人が失敗する前提でOJT体制を整備
  • 商談データはすべて社内で共有(勝ち筋の蓄積)
  • 「なぜ負けたか」を個人で抱え込ませず、チームで検証
  • 教育担当者もKPIを持ち、成長を数値で追う文化

つまり、営業個人ではなく、「営業組織」として強い。


■ 僕が思う:「能力に頼らない」という優しさ

子育てしながら働いていると、「誰かの属人的なスキル」に振り回されることが多い。
でもキーエンスの仕組みを見ると、ふと気づかされる。

「できる人」に頼るんじゃなく、
誰でも成果が出せる環境を作る。

それって、組織として一番優しい形なんじゃないか。

属人化は、誰かの才能に期待しすぎるリスクでもある。
だけど、“型”を共有し、全員で前に進める組織は、強くてしなやかだ。


■ おわりに:努力できる環境こそ、強さの源

キーエンスに「天才営業マン」はいないかもしれない。
でも、「努力すれば誰でも成長できる設計」がある。

これは営業に限らず、すべての職場に通じる話だ。
「成果が出る仕組みを作ること」こそ、これからのリーダーの仕事なのかもしれない。


▶︎次回予告(更新版)

次回は、「トヨタが米国で価格改定を実施した背景とは?企業戦略とユーザー影響を読み解く」をお届けします。

円安、EV競争、サプライチェーン…
なぜこのタイミングで“値上げ”なのか?
トヨタの意思決定から、経済と生活のつながりを考えます。

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