家族、土日、そして「仕事の意味」
1. 「このままでいいのか?」という違和感
気づいたのは、ある土曜日の午後。
リビングで子どもたちが楽しそうに遊んでいる声がするのに、僕はソファでぐったりしていた。
平日の疲れが残ったまま、せっかくの休日に「休むこと」しかできていない自分に、どこか虚しさを感じた。
「あれ、俺って、家族と一緒にいるために働いてるんじゃなかったっけ?」
そんな問いが、頭の中に残り続けていた。
2. リクルートを辞めた理由
実はリクルートに入社したときから、“3年でキャリアアップする”という前提を持っていた。
営業という職種で自分の力を試し、武器を身につけ、次のステップへ——そういう計画だった。
ただ一つ問題だったのは「移動時間」だ。
勤務地は東京だったが、僕の担当エリアは千葉や神奈川の奥地が多かった。
朝早く出て、電車を乗り継ぎ、車を走らせてようやく現地へ。
打ち合わせが終われば、また数時間かけて帰る日々。
「この移動時間って、なんの価値があるんだろう?」
そう思うことが増えていった。
営業という仕事そのものは嫌いじゃなかったし、年収も悪くなかった。
けれど、「このまま10年、20年と続けたいか?」と聞かれたら、答えはNOだった。
だからこそ、「年収をキープできるなら、もっと意味のある時間の使い方をしたい」と思うようになった。
営業で培ったスキルを活かして、“手に職”を持つ働き方を模索するようになった。
3. 家族と生きる「時間」を取り戻す
転職を真剣に考えるようになったとき、最初にやったのは「家族との時間」を見直すことだった。
土日はどう過ごしたいか?
子どもたちの行事にはどれくらい参加したいか?
妻との関係はどう築いていきたいか?
働き方を変えるというのは、仕事を変えるだけじゃない。
「人生の優先順位を再構成すること」だった。
僕の場合は、それが「家族」だった。
もっと一緒に過ごしたかった。
もっと身近な存在でいたかった。
4. 働き方を選び直した今、見える景色
今の僕は、あの頃と比べて決して収入が激増したわけじゃない。
でも、土日を“家族とちゃんと過ごせる”ことに、何よりの価値を感じている。
平日も無理をしすぎない働き方に変えたことで、仕事への「やらされ感」も減った。
もちろん、先の不安がゼロなわけじゃない。
でも「自分で選んだ」という感覚があるから、腹も据わるし、覚悟も決まる。
5. おわりに:誰かの背中をそっと押せたら
働き方を選び直すって、簡単なことじゃない。
でも、「このままでいいのか?」という違和感にフタをし続けることの方が、もっと怖かった。
今の時代、いろんな働き方がある。
キャリアを積む道も、家族と過ごす時間を優先する道も、自分でつくっていける。
この記事が、今どこかで同じようにモヤモヤしている誰かの、立ち止まるきっかけになったら嬉しい。
▶︎次回予告
「家族との時間を大切にしたくて転職したのに、次の職場は想像以上にハードだった——」
思い描いた理想とは裏腹に、僕を待っていたのは激務の日々。
その中で気づいた、“キャリア”と“年収”に向き合う覚悟の話。
次回は、リクルート退職後に訪れた「現実」と、そこから見えてきた新しい働き方の視点について書きます。
プロフィールはこちら
コメント